ここではエネルギー管理士(熱分野)試験や、高圧ガス製造保安責任者(化学)試験で頻出する熱力学の法則を紹介します。
熱力学の法則は第一法則から第三法則まであります。
はじめは何を言っているのかさっぱり分からないと思いますが、過去問を何度も解くにつれて、段々と理解できるようになります。
熱力学の法則とは
1.第一法則:エネルギー保存の法則を熱的現象に適用したもの。系に外部からなされた仕事と与えられた熱量との和は,内部エネルギーの増加に等しいという法則。
2.第二法則:熱が高温の物体から低温の物体へ移動する過程は,他に何の変化も残さないならば不可逆であるという法則。あるいは,孤立系のエントロピーは,不可逆変化において常に増大するという法則。トムソンの原理。カルノー・クラウジウスの原理。
3.第三法則:系の温度が絶対零度に近づくと,系のエントロピーは 0 に近づくという法則。ネルンストの熱定理。
このうち、特に重要な法則は、熱力学の第一法則です。
これは、エネルギー管理士(熱分野)の試験問題でも頻出するため、よく理解するようにしましょう。
熱力学第一法則
物体に与えた熱をQ、膨張した空気が外部に与えた仕事をW、物体内部の圧力をΔUと置くと、次の式と表せます。
ΔU=Q−W または Q=ΔU+ W
第一法則と言えばこの式です。ΔUは内部エネルギーと呼び、仕事+熱エネルギーの和です。
また、物体に熱Qを与えれば与えるほど、内部エネルギーΔUは上昇し、逆に、外部への仕事Wが大きくなるほど内部エネルギーは減少します。
考えてみれば、当たり前すぎるのですが、この式から色々なエネルギー変化を表しますので、よく覚えておいてください。
熱力学第二法則
20度の水を張っている状態のお風呂に、100度の熱湯をバケツ一杯分くらい入れたとします。
熱湯を入れた直後は、お風呂の一部分はとても熱いのですが、大部分は冷たい状態だと想像できます。
でも、時間が経つにつれて、お風呂の温度はどの部分も一定(30度くらい)になります。
これが第二法則です。時間が経つにつれて、温度が高い物から低い物を流れる現象のことです。
文章で書くと、当たり前ですが、式で表すとちょっと分かりにくいものになります。
ΔS=Q/T
この時の温度分布的な意味のことをエントロピー(ΔS)って呼びます。エントロピー自体の意味を説明すると「物体の乱雑さ」を表します。ちょっと意味不明になってきました。
ΔS はエントロピー変化、Q は受け取った熱量、Tは熱量Q を受け取ったときの温度です。
風呂の水の温度が高ければエントロピー変化は小さいが、熱湯の温度がもっと高ければエントロピ変化は大きくなると理解できます。
熱力学はこのようなちょっと想像しにくいパラメーターがボンボン出来てきますので、とっつきにくいと思われる方が多いのですが、過去問を解きながら一つ一つ理解していくことが大切です。
熱力学第三法則
実際の問題では、第一と第二を問われるのがほとんどのため、第三法則は完璧に理解する必要はありません。
第三法則を一言で表すと、
どんな物質でも、絶対零度の−273.15 ℃時、エントロピーは0になるということです。
その他、ネルンストの定理などと関連しますが、このあたりが出題されれば、捨て問と判断し、さっさと飛ばして次の問題に移ってしまうのも手です。